やすの銭湯日記

1998年8月20日
梅の湯

千代田区神田神保町2-8-2

神田神保町、このあたりは大きなビルの間の路地を入ると昔懐かしい小さな店が出てくるという、非常に特徴的な町並みがある。下町と都会が同居しているような感じだ。そして下町には欠かせない銭湯ももちろんある。千代田区にはたった四つしかないうちの一つ、梅の湯である。

たとえビルに挟まれているとしても昔ながらの雰囲気をそのまま残しているのがうれしい。入口は木の札の下駄箱、そしてもちろん番台がある。さらにすごいのは、脱衣場にエアコンがついていないことだ。最近はほとんどの銭湯でエアコンがついているのではないだろうか。この時期エアコンなしでは確かに暑いのだが、なんだか昔の銭湯を体験できたような気がして得した気分になる。エアコンがない代わりに、天井ではぷるんぷるんと扇風機がまわっている。

建物自体は古いが、浴室には手を入れたらしく、古いことによる不快感はない。カランは通常通りなのだが、シャワーは五つしかついていない。しかも、五つ並んだシャワーの下にはなぜかカランが四つしかない。ということはカランのないシャワーが一つあるのかというとそうではなく、五つのシャワーの下に四つのカランが微妙にずれた位置でついているのだ。使う人は当然カランの前に座るから、一番左の一つのシャワーは誰も使わないか、あるいは一人が二つのシャワーを使うことになる。なんとも不思議なつくりである。

湯舟の背景画はゴルフ場の風景。以前品川区荏原の戸越湯で見たものと同じだ。古くからある銭湯に共通の背景画なのか。でもとてもそうとは思えない今風の絵である。今日の湯には桃の葉の入浴剤が入っている。ピンク色の湯だ。

この銭湯はなんと言っても建っている場所がいい。いつまでも廃業せずに続いて欲しい。



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