やすの銭湯日記

2002年7月14日
鶴の湯

江東区三好4-7-4

実は今回訪れるところも廃業予定の銭湯である。廃業の声を聞いてから訪れるのはちょっと気が引ける部分もあるのだが、やはりこのチャンスを逃すと二度と見ることができなくなってしまうと思うと、来ないわけにはいかなくなってくる。

江東区三好の鶴の湯は、外観でいうとユニークな看板が、そして内容でいうと定期的に開催される演芸が有名である。では、本業の銭湯はどうなのか、ということで、今日はそれを確認することにした。

東京都現代美術館のすぐ近くに鶴の湯はある。有名な看板が目立つのですぐにわかった。看板に書かれてる文章は

ついさそわれてこのつるのゆ
るすいをまかしたおとなりの
のんきなおっさんはいってる
ゆぶねにほんわりあわふたつ

最初の文字だけ拾って読むと「つるのゆ」になる。さらに、最後の文字も逆から読むと「つるのゆ」に。洒落ているなあ。しかし、「るすい」なんていう言葉も今や意味が分からない人が多いだろう。歴史を感じさせる文句である。ちなみに、看板は視力検査風に文字がだんだん小さくなっていたりして、横には視力が書いてある。何メートル離れたところから見ると正確に視力をはかれるのだろう‥‥。

エレベータを上がり、銭湯の入り口は四階にある。下駄箱の鍵にはすでにロッカーの鍵がついており、靴を入れた時点でロッカーの場所が決まることになっている。フロントで料金を払い、中に入るとちょっと珍しい形のロッカーに遭遇。一つ一つが六角形で、蜂の巣のように並んでいるのだ。 鍵の番号を見て探すと、ちょっと使いづらい場所にあるロッカーだった。常連さんは靴を下駄箱に入れる時点で使いやすいロッカーを選ぶのだろうな。

浴室中央には鏡なしのカランが並び、シャワー付きのカランは壁際に並ぶ。柱が突き出している部分にはカランなしで、鏡とシャワーだけのところもあるのがちょっと面白い。

湯舟の背景画はなく、タイルの幾何学模様が並ぶのみ。なぜか湯舟横に大きな鏡があるのだが、これが女湯側の壁にあるため、一瞬女湯とつながっているのかと勘違いしてしまいそうである。もちろん鏡の中を覗いても自分の姿が写るのみ。

全体的な感想としては、ビル銭湯の割に開放感が感じられる銭湯であった。フロント前から男湯の脱衣場が簡単に覗けるようなおおらかさのせいかもしれない。廃業は本当に残念である。



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