やすの銭湯日記

2002年4月6日
照の湯

大田区仲六郷3-23-6

今日は横浜に行った帰りに銭湯に寄ることにした。京浜急行に乗って京急川崎の次、六郷土手駅で下車する。町工場が点在する街並みを歩き、しばらく行くとちょっと変わった形の煙突が見えてきた。「照の湯」という名前が堂々と書かれている。

近づいて来て初めてここがビル銭湯だと気づく。煙突が円柱形じゃないのもビルのデザインのせいのようだ。あまり開放感はないかなと心配しながら中に入る。

中はフロント形式で、その横にはロビーがある。しかし、これはいかにも元は番台だったところを改造したというのがわかる形式だ。もとは番台形式だったことからもわかるように、ここはビル銭湯であるにも関わらず内部は天井が高くて伝統的な東京銭湯の形態だったようである。ちょっと意外だったがこれはうれしい。フロントで四百円を払う。ここにはサウナがあるが、大田区の多くの銭湯がそうであるように、追加料金は必要ない。

脱衣場から浴室に入ると、右手にサウナの入り口がある。そして左手には水風呂‥‥確かに水風呂なのだが、ここのはちょっと変わっていて「冷鉱泉」とある。この辺りにはよくある黒湯、いや、黒水である。水風呂に使われているのは初めて見た。黒湯が使われている他の銭湯でもよくあるのだろうか。

まずは無料のサウナでからだを温める。ちょっと狭い上に利用者も多いので中の温度はかなり低めになってしまっている。温度計によれば八十度くらいのようだ。十二分入っていても温まり方はいまいちだった。もっとも温度は日によって違うだろうし、今日はちょっと運が悪かったようだ。

しかし、この銭湯には他にも楽しみがたくさんある。なんと言ってもすばらしいのは檜風呂だ。壁に掲げられた説明よれば「古代檜」が使われているとのこと。これは湯舟の材料の名前であると同時に作っているメーカの名前でもあるらしい。まだ新しいのだろうか、ぬめりもなくて非常に気持ちよく浸かることができた。

そしてもう一つのお楽しみはもちろん黒湯である。右側の湯舟が黒湯の泡風呂になっている。湯が黒いと湯舟の底が見えないのだが、最初足を入れたときには何だか微妙な深さだなと不思議に思った。底に尻をつけて座ると顔が沈んでしまいそうだが、普通の深風呂よりは浅めである。入りづらいなと思いながら肩まで湯に浸けようとすると何かが背中に当たる。低い段が設けられているのだった。腰掛けてみると、これがまた微妙な高さなのだが、不思議と体にフィットする。まさに謎の造りである。

拝啓画のタイルモザイク画は島々と橋のデザイン。一部はがれてきてしまっているのがちょっと残念であった。



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