やすの銭湯日記

1998年2月11日
天徳泉

杉並区阿佐ヶ谷北2-22-1

阿佐ヶ谷駅を降りて中央線の北側へ出ると、何だかちょっと寂しげな、それでいて居心地のいい感じ感じの街並みになる。空も少々曇っていて気温もかなり低い今日の天気になんとなくあっているような感じがする。天徳泉はそんな街並みに融け混んでいた。

入口の感じは東京の銭湯とちょっと趣が異なるようなのだが、一歩中に入ればやっぱり銭湯である。フロントでお金を払い下足を預けてタオルを受け取る。サウナは百五十円、この辺りでは良心的な料金だ。

脱衣場では演歌が流れている。この曲の感じ、脱衣場の雰囲気、外の天気、どれをとっても「阿佐ヶ谷っぽい」と思える。まさに私が阿佐ヶ谷に対してもっているイメージにぴったりだ。もっとも、私はそれほど阿佐ヶ谷にくわしいわけでもなんでもないのだが。

浴室の入口のドアは自動ドアだ。しかも、もともと手動だったところに後からつけたのが明らかにわかる。ドアの横についている玄関チャイムのようなものを押すと開くという仕掛けだ。中に入ってカランの前に腰かける。桶をのせるところが、こちらも後からつけたのかと思わせるような色をしている。真偽は不明だが。

サウナは湿式。砂時計の代わりに色のついた液体が入った水時計が置いてある。この時計、最後の最後で完全に落ちずに残ってしまうため、いつサウナ室から出ていいものやら‥‥ちょっと迷ってしまう。

そう言えば、ここの銭湯は鏡がやたら多い。湯舟の後ろにもあるし、前方にも、湯舟に浸かりながら正面に顔が写るような向きで鏡がある。脱衣場のロッカーの上にも。

設備はともかく、雰囲気が気に入ったこの銭湯、平日の冬の夕方あたりがよく似合う、と思う。



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