やすの銭湯日記

1998年9月8日
三田浴場

目黒区三田2-4-17

目黒の駅から線路に沿って恵比寿方面へ行く。恵比寿ガーデンプレイスの高層ビルがだんだん近付いてきて、上を見上げると首が痛くなって来そうなあたりでちょっと路地を入るといきなり庶民的な町並みが現れる。細い路地にある八百屋さんの向かい側に「三田浴場」の看板が見えた。今日の目的地だ。

入口からして小さい銭湯だが、中はなかなか清潔で新しいように感じられる。番台の形式は古いもののようなので、内装が新しいのだろうか。中だけ見ると、外観は昔ながらの破風造なのではないかと思わせる。

浴室に入るとその静けさに最初はとまどう。今ではすっかり当たり前になってしまった泡風呂の設備がここにはなく、湯舟の中の湯には入っている人が時おり動いたときに起こるさざ波程度しか見られない。物足りないと感じる人もいるのだろうが、実は私はこの雰囲気が好きだ。なんとなくゆっくりのんびりと長時間浸かっていられるような気がするのだ。

カランはごく普通のものだが、シャワーの数は少ない。私が訪れた時間は比較的すいていたので問題はなかった。隣に小学生らしき男の子が一人で遊んでいた。お母さんと二人で来て、彼は一人男湯で頑張っているようだ。シャンプーの容器などが格好のおもちゃとなるところは私が小学生だった頃とまったくかわりない。

背景のペンキ絵にしても男女の仕切りに描かれたタイル絵にしてもそれほど特別な印象は残らず、こぢんまりとしたイメージだけが残るのだが、こういう銭湯も悪くはないと思った。とくに外の高層ビルとのギャップが面白く感じられた。



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