やすの銭湯日記

2002年5月5日
小山湯

港区三田1-11-2

目黒駅から麻布方面行きのバスに乗り、港区の銭湯「小山湯」に行く。今日は五月五日のこどもの日、銭湯では菖蒲湯のサービスが一斉に行われる日である。バス停に着くと、周りは高いビルばかり。いつものように煙突を目印にというわけにもいかないなと思い、少し歩いてみたらあっさり煙突が見えた。このあたりは路地をちょっと入っただけで雰囲気ががらっと変わり、庶民的な光景に出会ったりする。

さて、本題の小山湯だが、外から見ただけでノスタルジックな雰囲気抜群の銭湯である。中に入る前に銭湯横の階段状の道を上がってみたら、何やら新築っぽい家がずらっと並ぶ新しい住宅街の中の私道に出た。このあたりがいかにも港区っぽいな。おしゃれな街と気取らない街がモザイク状に混ざっている感じである。

雰囲気から期待を裏切ることなく、入り口は番台形式である。入浴料四百円を払い、ついでに小さい石鹸を三十円で購入。改めて見回すと、脱衣場は横長の立派なたたずまいだ。ガラス窓の枠がきれいな幾何学模様になっていて美しい。浴室との仕切り壁がガラス張りになっているおかげで全体的に開放感があり、脱衣場側も浴室側もすっきり明るい感じがする。浴室の入り口ガラス戸以外はみな木製の枠だ。もちろん、伝統的な建物の重厚感もあり、何とも言えぬいい雰囲気である。

浴室にはシャワーのついていない島カランが二つ並ぶ。片側には鏡さえない。壁際のカランで髪と体を洗うことにする。

湯舟は深いものと浅いものの二つが並んでいるシンプルなもの。そして今日は菖蒲の葉が袋に入って浮かんでいる。鼻が慣れてしまったせいか、特にいい香りがするというわけでもないのだが、やはり年に一度の行事として菖蒲湯に入ると五月だなという気分にはなる。ペンキ絵を眺めながらのんびりしていたのだが、ちょっと絵が古くなっていてはがれかかっているのが残念。まあ、これがいい雰囲気を出していると言うこともできるのだが。

いい気分で風呂から上がる。このままいつまでもこういう銭湯に残っていて欲しいなあと心から願うのであった。



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