やすの銭湯日記

1999年6月29日
稲荷湯

千代田区内神田1-7-3

珍しく神田での宴会に参加することになった。普段あまりないチャンスなのでここぞとばかり銭湯めぐりに利用させてもらう。仕事が終わってから直行して神田駅到着が十八時すぎ。宴会の待ち合わせは十九時半だからひとっ風呂浴びるには十分な時間だ。

今にも雨が降りそうな灰色の空を見ながら銭湯を探す。千代田区四湯の一つ「稲荷湯」は予想が外れてビル銭湯だった。確かにこのあたりは背の高い建物が多くて、銭湯がビルに入っていても違和感はないのだが‥‥神田だから昔からの建物に違いないという考えは見当違いだったようだ。

それでも中は昔からの番台形式で、しかもビル銭湯にしては脱衣場も浴室も天井が高い。一歩中に入ってしまえば懐かしい感じの風景になる。脱衣場は掃除も行き届いていて好感が持てる。浴室の方はどうだろうか。

ペンキ絵がないのが少々不満だが、浴室の方も脱衣場同様に清潔で気持ちいい。風呂桶はちょっと古めの使い込まれたもので広告の類は入っていない。カランは使いやすく、シャワーの湯の出もなかなかいいぞ。やっぱりカランの使いやすさは銭湯を評価する際に大きなポイントになると個人的には思う。銭湯のご主人にはこういうところにもこだわりを持って欲しいなあ。あ、もちろんそういう意味ではこの銭湯は完璧だ、というのが私的な意見である。

湯舟は二つにわかれていてうち一つは円形の泡風呂。比較的底が浅くて足を伸ばして座れるくらいの深さだ。でもちょっと大きさが中途半端かな。二人入るにはちょっと狭いが、一人で占有するには広すぎる感じ。

風呂から上がって服を着て、脱衣場を出たところでおばさんに話しかけられる。どうやら私の髪型が気になったようだ。それにしても、見知らぬ人にも気軽に話しかけてくれるあたりはやっぱり下町だ。



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