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2002年3月3日
杉並区高井戸西1-21-8
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三鷹で行われた銭湯に関する講習会が終わったあと、吉祥寺から井の頭線に乗り、富士見ヶ丘駅で下車した。気温がかなり低い日曜日、早く銭湯にたどり着いて温かい湯に浸かりたい。神田川を渡った辺りで銭湯の煙突が見えてくる。煙突だけを頼りに、コインパーキングを横切ったりしながらやっと銭湯の前に到着。今日訪れるのは銭湯は「白山湯」である。
正面は非常に立派な破風造で、伝統的な銭湯の風格がある。向かって左手が男湯だ。下駄箱に鍵をかけて中に入ろうとする‥‥「自動ドア」と書いてあるのだが、マットの上に立ってもまったく動く気配がない。おそるおそる手をかけてみたら開いた。今は自動ではなく手動になっているようだ。番台に五百円払い、お釣りの百円を受け取る。
天井は格天井風に四角く仕切られていて、中には紅白の梅の花が描かれている。しかしこれは残念ながら印刷のようで、それぞれの絵がみな同じ柄である。
番号が薄くなっているロッカーに荷物と服を入れる。開けるときに迷わないように、端から何番目にあるのかを覚えてから浴室に向かった。
浴室は島カラン一つのシンプルな造り。シャワーは両側の壁にあるカランにのみついている。まずは髪を洗い、次に体を洗う。カランの湯がちょっと熱めなのがうれしい。
体を洗い終わったらシャワーなしの方のカランに移動する。混んできたというほどでもないが、髪も体も洗い終わってしまえばシャワー前を占領する意味はもはやない。風呂道具を腰掛けの上に置いて湯舟に向かう。
ここの湯舟の背景画は残念ながらペンキ絵でもタイル絵でもない。椰子の木が印刷された壁紙のようなものが貼られているだけである。また、それ以外の部分は全体的に水色のタイルで統一されている。面白味はないが、全体的にはまとまっている感じがする。視点を上にやると、湯気抜きの天井の形などは昔ながらの銭湯の形をきちんと残している。内装を替えた以外は伝統的な建物のままなのだろう。
古い部分と新しい部分が微妙に入り交じったこの銭湯。出ようとして番台の横をふと見たら壁掛け形のダイアル式黒電話があった。こういう意外なところに古い部分がきちんと残っているのが興味深い。
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