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2002年3月24日
世田谷区三軒茶屋2-56-6
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この三月末の廃業ラッシュには、世田谷区と杉並区の銭湯の廃業が目立つ。本日訪れる富寿の湯もその一軒だが、建物の美しさを思うと本当に惜しい銭湯の一つである。場所は世田谷通りと環七通りの交わる若林交差点からすぐのところにある。
今回は世田谷線を利用して行ってみた。若林の駅からちょっと歩いて交差点に出ると煙突が見えるのがすぐにわかる。銭湯の前の敷地が更地になっているようだ。廃業後はここもあわせた土地にビルか何かが建つのだろうか。
屋根の形、入口の感じからしていかにも伝統的銭湯である。もちろん番台があり、男女の仕切壁の上方には古い振り子時計が時を刻んでいる。ちょっと早めの時間で客も少なく、外から日差しが入ってくる脱衣場にはたまらないノスタルジーが感じられる。この雰囲気があるから、古い銭湯がたまらなく好きなのである。
古い雰囲気とはいっても、ここの脱衣場の設備はむしろ東京の銭湯の中でもスタンダードといえるかもしれない。どこにでも見られるロッカーが整然と並んでいる。壁側のロッカーの上にガラス戸があり、その中にいろいろな人形があるのがちょっと珍しいかも。おそらくご主人がもらったものであろう感謝状も飾られていた。
浴室に入ってみて意外だったのは、内装等が比較的新しかったことである。タイルなども廃業前の銭湯にありがちな剥がれかけているようなものでは決してなく、素人目には最近取り替えたのではないかと思ってしまうような新しさに見えた。カランもぴかぴかだ。友人の情報によればペンキ絵も書き換えたのは最近だそうである。ここのペンキ絵はちょっと面白くて、男湯側にはエベレストが描かれており、女湯側には富士山が見える。世界一と日本一の共演だ。せっかくの珍しいペンキ絵も今月で見納めだと思うと悲しい。
そして、私のノスタルジックな気持ちに拍車をかけたのが湯舟だ。泡風呂や寝風呂の設備があるのだが、すべて停止している。泡の出るブクブクという音がしない浴室は本当にしんとしていて、この雰囲気がたまらなく懐かしい感じがした。
貼り紙のお知らせによれば、今週の木曜日が最終日とのこと。本当に残念である。
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