やすの銭湯日記

2000年12月4日
第三エビス湯

渋谷区上原3-26-6

東大駒場でセミナーに出席したあと、ついでに銭湯に立ち寄ることにした。駒場公園の横を通り、小田急線の方に向かう。暗い住宅街の中に現れる「上原温泉」の文字。「第三エビス湯」といういかにも銭湯らしい名前はすでにやめてしまったのかと思ったのだが、のれんにはきちんと書いてあって一安心。さて、冷えた体を温めることにしよう。

ここはビル銭湯なのだが、入口といい、脱衣場といい、それを感じさせることはほとんどないくらい伝統的な形になっている。もちろん番台形式であり、床もきちんと手入れされてぴかぴかの板張りだ。天井が低めなことだけは避けられなかったようだが、それでも十分レトロな雰囲気を醸し出している。

浴室に入ってまず驚くのは島カラン。シャワーつきなのだが、鏡がない。いや、ないのは鏡だけではなく、仕切るもの自体がない。つまり、膝くらいの高さのところにカランが付いており、上の方にパイプが張られてシャワーが付いているのである。向かい合って座るとお互いの顔が見えるというわけだ。幸か不幸か、向かい合って座らなければならないほど混んではいなかったが、そうなったらたぶん恥ずかしいし、お湯のはねも前方にまで気を使わねばならない。しかも、壁側のカランはシャワーなしだから、座ってシャワーを使おうと思ったらここに座るしかないのだ。

この銭湯は「上原温泉」を名乗っているとおり、湯は温泉なのだが、言われなければわからない無色透明、無臭の湯である。比較的熱めの湯で気持ちいい。背景画のペンキ絵は湖を描いた平凡なものだが、山がないぶん空が広くて、低い天井をあまり感じさせない。

全体的に見て非常に印象がいい銭湯である。東大生は近くにこんないい銭湯があるなんて、まったく羨ましい。



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