やすの銭湯日記

1998年6月10日
第二桜湯

渋谷区神宮前6-6-2

梅雨空の下、原宿駅を下りる。駅前では何かのコンサートのダフ屋がチケットを手にして通行人に声をかける。坂を下りて神宮前の交差点から路地に入ると賑やかな町並みから一気に所帯じみた雰囲気に変わる。細い路地をさらに奥に行ったところにあるのが第二桜湯だ。

周りにあるモダンな建物とは対照的に昔ながらの破風造り。傘入れも下駄箱も番台も昔ながらのものだ。脱衣場には狭いながらも庭があり、銭湯の風格を醸し出している。新しい建物が多い町の真中にあるからと言って妥協を許さないという感じがしていいものだ。

脱衣場も浴室も、建物自体は古いのだが清潔で気持ちいい。浴室はシャワーの数が少ないが、客の入りはどうなのだろうか。私は早い時刻に行ったのでがらがらだったのだが‥‥。

背景画はタイルのモザイク画で、日本地図が日の丸の旗とともに描かれている。「日本国土」と右から左に書いているのが印象的だ。それにしてもこの日本地図、ずいぶん歪んでいて、本州は北のほうがかなり太っている。北海道など見たことのない形になってしまっている。ちなみに女湯のほうはごく普通の滝の絵のようである。

湯舟は深さが二種類に分かれているのだが、その間の仕切りはステンレスのパイプ一本。これも珍しいのだが、それ以上に湯舟の奥行きが深いのが珍しい。足をまっすぐ伸ばして座ってもつっかえないで入っていられるのがうれしい。

この銭湯が銭湯日記八十湯目の記念すべき銭湯となった。場所柄から考えれば大変だろうが、いつまでもこのまま頑張って欲しい。



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