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2001年11月23日
新宿区左門町10
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三連休の初日、今月末で廃業してしまうという四谷の銭湯に出かけた。路地を入って見えてきた銭湯「鶴の湯」の写真を撮ろうと正面にまわると、なにやら建物の外観をスケッチしている男性がいる。よく見ると知り合いの銭湯めぐりの達人ではないか。彼はすでに千二百湯以上の銭湯をまわった大先輩である。声をかけて、一緒に湯に浸かることにした。
破風造が入り口から見て横向きになっているちょっと変わった造りのこの銭湯、下駄箱が左右に並ぶようについているのも特徴的である。昔ながらの番台で四百円を払い、脱衣場のロッカーに服を放り込む。この銭湯では脱衣かごも現役のようだ。
立派な庭もある脱衣場を後にして浴室に入ると、最初に目に入ったのは茶色い床。もちろん汚れているのではなく、そういう色のタイルを使っているのだが、色といい、模様の形といい、私にはどう見ても中国の月餅に見えてしまうのである。明るい色のタイルが多い中でこういうタイルを見るとちょっとうれしくなる。
カランの湯もシャワーもちょっとぬるめなのが気になるが、まあ許せる範囲かな。それよりもずいぶん古そうなケロリン桶が別の意味で気になった。この銭湯が廃業したらやっぱりこの桶も捨てられてしまうのだろうか。
湯舟は二つに分かれており、片方は深めになっている。ペンキ絵は追貝渓谷の絵だそうで、平成五年七月十日に描かれたものである。すでにはがれかかっていてぼろぼろだが、側面まで幅広く使われて描かれた渓谷の絵はなかなか壮観である。
風呂上がりにも脱衣場で達人の話を聞かせてもらった。東京以外の地方の銭湯もすばらしいそうだ。私も最近、週に一湯ペースになってしまったが、もう少し気合いを入れてまわった方がいいかもしれないなあ、と思ったのであった。
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