やすの銭湯日記

2002年10月4日
森の湯

杉並区井草1-17-7

杉並区の銭湯も残すところあと一軒で全軒制覇となった。最後の一軒は西武新宿線下井草駅から徒歩数分のところにある「森の湯」である。すでに杉並区からは引っ越してしまったので、家から気軽にというわけにはいかない。仕事帰りに高田馬場駅まで出て、そこから西武新宿線に乗る。各駅停車は二度も追い越していく列車の待ち合わせをするので、距離はそれほど遠くないにも関わらず下井草駅まで二十分近くかかった。

既に暗くなってしまったが、通りには街灯があってそれほどでもない。住所を見ながら歩いて行くと、通りから少々奥まったところに見える破風造。コインランドリーも併設されていて、いかにも東京らしい銭湯が現れた。

これはなかなか期待できそうだと思いながら中に入る。期待を裏切らない伝統的な形式の番台。そして非常に落ち着いた雰囲気の脱衣場。とくに珍しいがあったりするわけではないのだが、こういう感じの銭湯に来るとなんだかとってもほっとするような気がするのが不思議だ。

浴室はけっこう広めで、島カランが二つ並んでいる。島カランの方にはシャワーがなく、両側の壁に向かったカランにのみシャワーがついている。あまり新しい感じのシャワーではないが、湯の出具合いは十分だ。使い心地に関して唯一気になった点を挙げるとすれば鏡の前の台部分の幅が狭くて桶が載らないことくらいだろうか。これもよくあることではある。

ペンキ絵は湖、湯舟は二つ。このあたりもとくに大きな特徴があるわけではない。しかし、清潔な浴室でごく普通の風景の中湯に浸かるのはやはり非常に落ち着くのである。やはり入浴は日常生活の一部だから、珍しいものより見慣れた風景の方がいいのかもしれない。

この銭湯は脱衣場についている庭が非常に美しい。池もあって湯上がりに涼むのには最高なのだが、実際出てみると近所のアパートからは丸見えのようである。こちらは何も気にしないが、見たくないのに見えてしまっていやだという人もいるだろうなあ。

スタンダードながら非常にいい雰囲気のところで、杉並区の取りを飾るにふさわしい銭湯だった。



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