やすの銭湯日記

2002年4月27日
鹿島湯

練馬区春日町3-15-6

先日に引き続き、都営地下鉄大江戸線は練馬春日町の駅を降りる。来月からの職場を考えると練馬区方面は行きづらくなりそうなので、時間に余裕のある今月中にこのあたりの銭湯を訪れておきたかったのである。駅から約五分ほど歩くと、煙突が見えてきた。あれが鹿島湯だな。煙突に書いてあるから間違いない。

正面から見ると典型的な東京型銭湯。下駄箱に靴を入れて、戸を開けると高い番台が‥‥と思ったら、低い。しかも、目の前に仕切りがあり、番台に座っても脱衣場は見渡せないようになっている。ようするに、フロント形式のようなものである。ちょっと残念な気もするが、ご主人は銭湯の存続を真剣に考えてこのようにしたのだろう。

脱衣場に入ると大きなソファが目立つ。大きな布がかけられていて、たとえ濡れた体でも不快感が残らないようになっているようである。そして、もう一つ目立つのは大きなテレビ。リモコンも置いてあって、客が自由に見られるようになっている。好きなチャンネルが見られるのはいいが、客同士のチャンネル争いなどのトラブルはないのかな、と余計な心配をしてしまう。

きれいな花の咲いた庭を眺めながら服を脱ぎ、浴室へ。島カランが二つあるが、そこにはシャワーがついていない。壁側のシャワー付きカランを陣取って、髪と体を洗う。

そういえば、銭湯の入り口に「露天風呂」の看板が出ていたな、と思い出す。しかし、それらしきものが見あたらない。女湯側の壁に立ちシャワーがあり、あとは湯舟だけ‥‥ふと見ると、アルミサッシのドアがある。まるで、釜場につながっているかのような感じの地味なドアなのだが、釜場行きの戸はちゃんと別にあるので、そうではないようだ。しばらく見ているとお客さんがドアを開けて外へ出ていった。間違いない、あの外が露天風呂である。都内の銭湯の露天風呂は狭いところが多いので、今出ていった人が戻ってきたら行ってみることにしよう。

浴室内の銭湯は水風呂と座風呂、泡風呂。最初に入ったときはそれほど熱くなかったのだが、泡風呂で温まっていたらどんどん湯温が上がってくるのがわかる。背景画はきれいな風景なのだが、残念ながらペンキ絵やタイル絵ではなく写真である。

さて、さっきのお客さんが戻ってきたので私も露天を体験してみよう。ドアを開けると‥‥なんと、いきなり目の前が湯舟である。狭い敷地を最大限に利用した感じ。まあ、こんなものかなと思いつつ湯に浸かる。湯がちょっと汚れているようだが、露天ではこのくらいは仕方ないだろう。驚いたのはむしろ、外との仕切りの壁が低く、立ち上がると前の道が思いっきり見えることである。もちろんあちら側からも見えているはずだ。外を歩く買い物帰りの親子連れが露天風呂から見えるというのもなかなか不思議な感じがする。これはちょっとインパクトのある風呂だ。

浴室で再び湯に浸かってからあがる。大きなテレビでニュースなど見ながらのんびり。

初めて訪れる人は露天風呂へのドアに気づきにくいかもしれないが、せっかくだから一度は入ってみて欲しいところである。ちょっと変わっているという意味で印象に残る銭湯だった。



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