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2001年3月31日
世田谷区北沢5-26-14
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例年に比べるとかなり早い気がするのだが、もう桜は満開となっている。にも関わらず外は雪。せっかくの花見の予定が台無しになってしまった人も多いに違いない。特に花見の予定もなかった私は、雪もやんだ夕方頃に銭湯めぐりに出かけることにした。
本日訪れるのは世田谷区の銭湯。京王線笹塚の駅から徒歩数分のところにある「花の湯」である。しかし、実はこの銭湯、今日三月三十一日をもって廃業してしまうのだ。入口の貼り紙には「都市計画工事のため」とあるが、理由はどうあれ銭湯好きにとって廃業は悲しい知らせである。
もちろん悲しい思いは銭湯のご主人や常連さんの方が大きいに違いない。脱衣場でしばらく観察していると、帰るお客さんと番台のご主人が「お元気で」あいさつしているのが聞こえる。何だか泣けてくる光景だなあ。
花の湯はビル銭湯で、脱衣場では天井の赤い幾何学模様が銭湯らしくない印象を与える。そんな中、番台上方にある大きな時計がこの銭湯の歴史を感じさせている。
浴室は二つの島カランが並んでいて、ここにはシャワーがついていない。両側の壁向きカランにはついているので、こちらを陣取ることにする。この銭湯でうれしいのは木桶。ケロリン桶が当たり前の最近の銭湯の中で木桶は実に新鮮だ。ああ、でもこの木桶を使うことができるのも今日が最初で最後なのだな。
湯舟の湯温は四十二度くらいか、ちょっとぬるく感じる。背景画は大きな橋が架かった渓谷のタイルモザイク画。まだまだ古くさい感じはしない。背景画だけではなく、浴室、脱衣場、すべてが今日限りにするにはもったいないくらいきれいなのだ。全く廃業の雰囲気を感じさせないのがまた悲しみを誘うんだよなあ。
外はすでに雨がやんでいたものの、まだちょっと寒かった。明日は晴れて花見気分にひたりたいところだ。
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