やすの銭湯日記

2002年2月3日
弁天湯

杉並区和泉1-53-16

去年の年末から今年のはじめにかけて、銭湯の廃業情報をずいぶん耳にした。今回訪れるのもあと二週間弱で廃業してしまう銭湯である。地下鉄丸ノ内線の方南町駅から環七通りを南下し、途中から住宅街に入っていったところにある「弁天湯」。外観を見る限りでは建物も比較的新しく、もうすぐ廃業というのがちょっと信じられない造りである。

入り口はフロント形式になっている。座っているのは子供。小学生か中学生くらいだろうか、今日は土曜日なので、親の仕事を手伝っているのだろう。偉いなと感心しながら料金を払い、ここでロッカーの鍵を受け取る。

鍵の盗難防止なのだろうが、フロントで鍵を受け取る形式は自分の好みの位置のロッカーが選べないのが難点。今回は一番上の段のロッカーになってしまい、服が入れにくい。

ちょっと照明が暗めの浴室は何だか不思議な雰囲気を醸し出している。天井の湯気を抜くところは八角形になっていてちょっと変わっている感じだ。非常に広い浴室で、島カランが二つ並んでいても全然窮屈でない。ただ、カランによってはシャワーが壊れているところがあり、座る場所を選ばなければならない。壊れていないシャワーにも当たり外れがあるようで、私が座ったところはシャワーの水量がいまいちだったが、他の人が使っているところは勢いよく湯が出ていた。このあたりは近所の常連さんの方が明らかに有利である。

北海道の大沼公園と駒ヶ岳のペンキ絵を背景にしながら湯に浸かる。ペンキ絵はまだ描かれてからそれほど日数が経っていないようで、よく見ると端の方に去年の七月十三日の日付が入っている。廃業を決めたのは最近のことなのだろうか。内装もまだまだ新しいのになあ。

がらんと広い脱衣場に戻ると、夕方の薄暗い雰囲気が何とも寂しげな感じになっていた。



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